学習塾の種類(概要編)

  • 2023.02.20

まず全体像

クラス 方式 種別名
多人数制 授業系
  • 集団指導塾
  • 受験予備校
  • 映像授業塾
質疑応答系
  • 自立学習塾
  • 学習管理塾(仮称)
少人数制 授業系
  • (特殊形態)
質疑応答系
  • 個別指導塾
  • 家庭教師
  • オンライン家庭教師

塾のサービス形態が多様化しているので「集団指導塾と個別指導塾」という区別のしかたはしないほうがいいと思います。

多人数制と少人数制の違い(大雑把に)

下記の学習サイクルにおいて、多人数制は前半工程、少人数制は後半工程に強いです。

学習サイクル

多人数制・授業系の塾

集団指導

集団指導塾

いわゆる「学校」を模した授業を行う塾で、小中学生対象の学習塾では最も一般的なスタイルです。反面、高校生対象の塾では非常に少ないです。

多くは学習サイクルの「STEP1~3」を扱う「わかりやすいサービス」です。

学力選抜が必須

固定的なカリキュラムで進めるため、自身の学力に合わないと意味がないものになります。(むしろ時間損失します)

このため入塾時と定期的な学力選抜による「学力別クラス」が設けられていることが重要です。

受験予備校

学習サイクルの「STEP1」に特化したインプットのみを行う「不親切な塾」です。反面、主目的に限定すれば前述の集団指導塾に比べて学習効率が格段に良く、それを目的とした塾利用に適します。

大学受験を目的とする高校生対象の塾ではこれが一般的です。

多くは「ゼミ式(単位自由選択)」で、担任役の人が講座選択のアドバイスをしてくれます。また、1単位は2週間~3ヶ月程度で完結するので途中入塾の不利が少ないです。

身の丈に合う講座の選択が必須

各講座には「前提学力」が設けられており、授業はその学力がある前提で設計されています。

身の丈を超える講座を受講しても「座っているだけ」になるので注意。

映像授業塾

受験予備校の授業を映像提供するスタイルです。(学習サイクルの「STEP1」に特化)

昭和や平成初期は通信機器の事情で通塾が必要でしたが、現在はインターネット経由で在宅学習が一般的になっています。

「相談」が必要なければ映像教材でいい

映像授業塾のメリットは進路相談や取得講座の選択について対面型予備校と同じサービスが受けられることですが、これを利用しない、即ち「授業映像が見れればよい」という場合は映像教材のほうがコスパ面で有利です。(費用が1/10以下になります)

映像授業は「汎用・基礎」のカテゴリ

特に大学受験の分野では、需要が少ない学力帯向けの講座を映像授業に移行する動きが顕著です。

大学入学共通テストや公立高校入試のような「単一様式」の受験対策には有効ですが、学校によって出題様式が異なる中学受験では、学習初期から中期の基礎学習には有効でも後半は不都合が多いです。

多人数制・質疑応答型の塾

個別指導

自立学習塾

個々の学力や希望に合わせた学習教材を提供し、個々のペースで進めるスタイルです。質疑応答は挙手制で行います。

「くもん」をはじめ、学習塾では最も数が多い種別です。

基本方針が「受験」には向かない

自立学習塾の本質と学習効果は「マイペース」にあるため、本人のそれが受験ペースとの乖離が大きいと必要学力に到達しません。

当たりハズレがある

自立学習塾の多くはFC方式(フランチャイズ)で展開しており、脱サラ業のひとつでもあります。

このため「塾名」にかかわらず「校舎」によって技量差が顕著です。

学習管理塾

自立学習塾と似ていますが、中長期の学習計画を提供する点で異なります。このため「マイペース」ではなくなります。

大学受験の武田塾が著名です。また、「ビリギャル:学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」のモデルとなっている塾もそうです。

逆転合格塾のイメージがありますが、現在では比較的規模が大きい総合受験塾の個別指導クラスはこのスタイルが多いです。

「少人数制:個別指導塾」も併せて参照してください。

少人数制・授業型の塾

集団指導塾と同じ内容を「超少人数(5名以下)」の環境で行う塾です。学習サイクルの全てを網羅するので非常に高い学習効果があります。

但し非常に数が少ないです。

  • 採算度外視の個人経営塾(殆どが自宅開業)
  • コスパ度外視の高額料金塾(殆どが難関校志望向け)

なるほど。見かけないわけだ。

このスタイルが極めて例外的であることを知っておくと、塾探しのときに無駄足を踏まずに済みます。

少人数制・質疑応答型の塾

個別指導塾

個別指導

む?冒頭の図に追記が?

個別指導塾は、非対面時の学習課題を提示し、対面指導時に定着確認と知識補完を行う塾です。すなわち「STEP3(定着確認)→STEP4(知識補完)」が中心になります。

  • 前半工程は塾の指導時間外で行う。つまり宿題が必ずある。
  • 講師が常に張付いている。→物理的に1講師がみられる生徒数は1~3人。
  • 長期学習計画によって学習が進む。純然なマイペースではない。

個別指導塾には集団指導塾と同様に「学習計画」があり、学習指導はそれに基づいて進められます。但し、集団指導塾の学習計画は「既製品」であることに対し、個別指導塾の学習計画は「個人専用」であることです。

学校を基軸とせず完成期日が定められている学習目的において「個人専用計画」は圧倒的な有利材料になります。

学習管理塾との違い

システムとしてはほぼ同じですが、学習管理塾は占有時間の関係で「添削中心」となります。常時張付きではないのでコーチングに関連する精度が下がるのは否めませんが、ここで挙げている「個別指導塾」より費用が安いです。

家庭教師

受験系の家庭教師は、前述の個別指導塾を「自宅訪問かつ完全マンツーマン」で提供するスタイルです。

特徴というか利用上の注意点は、受験系家庭教師は講師の「活動可能時間」を占有するので料金が非常に高額になることです。

重要注意:非受験の家庭教師とはまったく別種

非受験のカテキョは「多人数型:自立学習塾」のリソースを個人占有する贅沢サービスです。

テレビドラマのシーンででてくるカテキョは「非受験=贅沢品」なので混同しないように。

オンライン家庭教師

スマホの普及によって広まっているスタイルで、単純・純粋に「その場の質疑応答」に特化しています。

一般認知が高まったことで明確に「学習塾」として運営する事業者も増えています。

受験計画を提供する「個別指導塾」「家庭教師」のオンライン版も無いわけではないですが、例外中の例外になりつつあるので存在しないものとしています。

端的な質問だけしたい場合は最もお勧めです。

添付の解説書が答え合わせにしか使えない「過去問学習」では有用性が高いです。

なるほど!

まとめ

いろいろ複雑でした。

学習支援サービスは「彼方立てれば此方が立たぬ」の解決策として存在していますので、性質が違うのは当たり前なのです。

改変履歴

  • 【2022.07.10】新装版に修正。
  • 【2021.12.10】雑多な段落を整理。
  • 【2021.08.03】初版