学力偏差値(模試偏差値)

  • 2023.04.24

学力偏差値(模試偏差値)とは?

特定のテストの受験者の中での相対的な序列のポジションを示したものです。

100点満点のテストで自分の得点が70点の場合、平均点が60点の場合と80点の場合では良し悪しの評価は違います。また、「1位95点、2位40点、3位39点」だった場合、2位と3位の逆転は容易いですが、1位の壁はとても高いことがわかります。

そういった得点だけでは見えにくい「格差」をわかりやすくするのが偏差値です。

数字そのものは学力を示さない

偏差値はあくまで「その集計データの中での序列」です。同じ学力でも集計データによって偏差値は変わります。

学校偏差値との混同に注意

学力偏差値 特定のテストの受験者の中でのポジションを示したもの。模試偏差値と呼ぶほうが厳密的です。
学校偏差値 特定の模試受験者の合否を追跡調査したもの。厳密には「偏差値」ではなく標本調査です。
疑似偏差値
ランキング
何らかの実績を集計者独自の観点でスコアリングしたもの。ネットに散見する学校偏差値情報の多くはこれ。

混同すると情報を正しく読めなくなります。

このページでは、学力偏差値(模試偏差値)について扱います。

学力偏差値の求め方

  1. 受験者の平均点を求める
  2. 「偏差」から「偏差の二乗」を求める。偏差とは、自己の得点から平均点を引いた値。
  3. 「分散」を求める。分散とは、「偏差の二乗」の平均。
  4. 「標準偏差」を求める。標準偏差とは、分散の平方根。
  5. 「中央値」を決める(受験系では50)
  6. 〔偏差 / 標準偏差 〕× 10 + 中央値 = 偏差値

平方根は電卓の「√ボタン」、エクセルやスプレッドシートなら「sqrt(数)」か「数^(1/2)」で求められます。

文字の説明ではイメージしにくいので実際に偏差値を計算してみます。

サンプル1:正規分布

正規分布とは、中央を挟んで前後(上下)にそれぞれ同じ数がある状態です。

正規分布
得点 偏差 二乗 分散 標準偏差 偏差値
80 20 400 200 14.14 64.1
70 10 100 57.1
60 0 0 50
50 -10 100 42.9
40 -20 400 35.9
合計300点 平均点60点

5人中の中間順位が偏差値50ですね。

平均点の人に着目して話を進めるよ。

サンプル2:受験者の学力に対して出題難度が低い

得点率が高くなり、平均点も高くなるケース。

高得点に偏り
得点 偏差 二乗 分散 標準偏差 偏差値
80 15 225 250 15.81 59.4
75 10 100 56.3
70 5 25 53.1
65 0 0 50.0
35 -30 900 31.2
合計325点 平均点65点

先程より5点多いですが、偏差値は50のままで順位が5人中4位に下がってしまいました…

上位3名を合格にするテストだと不合格だね。

頑張ってるのは自分だけではないのですね。

サンプル3:受験者の学力に対して出題難度が高い

得点率が低くなり、平均点も低くなるケース。

低得点に偏り
得点 偏差 二乗 分散 標準偏差 偏差値
75 30 900 250 15.81 68.9
45 0 0 50.0
40 -5 25 46.8
35 -10 100 43.6
30 -15 225 40.5
合計225点 平均点45点

先程より20点も下がりましたし得点率も50%に届いていませんが、偏差値は50のままで順位は5人中2位に上昇!

上位2名を合格にするテストならこれで合格だね!

学力偏差値を計れる模試の種類

統一模試

対象属性を設けない模試です。実質的には「受験生」しか利用しないので、受験生全体でみた学力ポジションがわかります。

  • 統一模試の利用者は、中学受験では同学年の1/4~1/5、大学受験では同学年の1/2くらい。

志望校限定模試

特定校志望者に限定した模試で、対象校の出題様式で作問されます。利用者のほぼ全員が同一校志望者のため、成績分布によってライバルの学力帯や自分のポジションがわかります。

受験学年では最重要模試です。

  • 統一模試とは偏差値の出方が大きく異なることが多い。
  • 志望校が決まっているときは最も実用的なデータがとれる。
  • 利用者数が少ない(例年志願者数の半数以下)ものは信頼性が低いので注意。

合否判定模試

11月頃に開催される「最終模試」です。出題様式は統一模試に似ていますが、扱い方は志望校限定模試と同じです。

  • 判定には募集人数や例年の合格者数が反映されます。
  • 著名な合判模試の精度は非常に高いです。一般的な受験計画で勉強している場合は(良くも悪くも)信頼性が高い情報になります。

全国学力調査

小学6年生と中学3年生の4~5月頃に実施される文科省による「調査」です。公開情報によって同年齢全体でみた偏差値が算出できます。

同年代全体での偏差値が計れるのは学調だけです。

R3年度 算数/数学
正答数 正答率(%) 小学生偏差値 中学生偏差値
1 6 21 28
2 13 23 31
3 19 26 33
4 25 29 36
5 31 32 39
6 38 35 41
7 44 38 44
8 50 41 47
9 56 43 49
10 63 46 52
11 69 49 55
12 75 52 58
13 81 55 60
14 88 58 63
15 94 61 66
16 100 63 68

(得点-平均点)/ 標準偏差 × 10 + 50 = 偏差値

平均点は「小学生11.3、中学生9.2」、標準偏差は「小学生3.5、中学生3.7」としています。(国立教育政策研究所の公開情報より)

受験分野ごとの「偏差値50」の違い

学力偏差値のイメージ図

上記は中学受験の偏差値の意味や高校入試や大学受験の偏差値との違いを説明するときによく使われる図です。

左の大きな円が小学生、右の小さな円は4年制大学を受験をする高校3年生(現役生)の人数を示します。

同年齢人口約30万人中、中学受験人口をおおよそ6万人で計算しています。

どうしてこんなに違うの?

テストを受ける人の平均学力が違うからです。

補足

  • 学区制公立中学平均は、小学生時期の学力上位者が中学受験で抜けるので学齢平均より低くなります。
  • 大学受験者平均は、難関校狙いの浪人生が混じるので現役生平均より高くなります。

改変履歴

  • 【2023.04.23】雑多な表現を修正・削除。
  • 【2023.01.23】学校偏差値と分割。
  • 【2022.07.10】会話型コメントを追加。
  • 【2022.01.16】ナビゲーション整合性のための文脈修正と冗長箇所の削除。
  • 【2019.10.01】初版