集団指導塾とは

2022.01.16
集団指導

学習サイクル上の位置づけ

インプット
練習
評価
判定対処

詳細な区分

次の3種類があります。

  • 受験対策型
  • 短期講習型
  • 内申点対策型

集団指導塾の概要

集団指導塾は学習サイクルにおける「Step1:インプット」を行う塾です。

ひとまとまりの学習内容を一定期間で分割投下するシステムであり、1冊の問題集を定期消化で進めていくイメージです。

学習のテーマを提供するため、学習サイクルの中心になります。

効果を得るために必要なこと

  • 学力と学習目的に合うコースを選ぶ
  • 予復習をする
  • 理解漏れは次の授業までに必ず埋める
  • カリキュラムの初日から開始する(途中入塾は非推奨)
  • 休まない

注意点は、集団指導塾は授業適応が難しい生徒がいても難度を下げたりペースを緩めることはしません。(理由は適応できている立場で考えるとわかります)

評判や扱う内容に意識が向きがちですが、自分の学力で適応できるものを選ぶことが最重要です。

受験対策型(包括型)

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学習サイクル上の位置づけ

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練習
評価
判定対処

志望校の受験合格に必要なことを包括的に引き受ける塾

集団指導塾の中で包括型の要素(受け皿)を設けているものがこれにあたります。小学生の場合は「中学受験塾」という解釈でOKです。

集団指導ベースにおける包括型の要点は次の3つです。

  • 学力別クラスと定期的なクラス再編
  • 時間占有できる質疑応答(個別指導)
  • 受験情報の提供と、それに基づく個別の進路指導

効果を得るために必要なこと

  • 必携オプションをすべてとる(オプション利用で包括型になる)
  • 他塾を掛け持ちしない(教材持込ができる個別指導を除く)
  • 学力と学習目的に合うコースを選ぶ
  • 予復習をする
  • 理解漏れは次の授業までに必ず埋める
  • カリキュラムの初日から開始する(途中入塾は非推奨)
  • 休まない

大筋は集団指導塾の基本形と同じです。最も気をつけることは「包括型の塾を選ぶ」ということです。

なぜなら包括型の条件を満たしている塾は決して多くありませんし、塾全体としてはそうでも選ぶコースによっては違うこともあります。

学力別クラスの重要性〔2-6-2〕と〔2-3-5〕

〔2-6-2〕とは、集団指導下で発生する学力格差の区分であり、〔2-3-5〕は受験進学塾における学力別クラスの大分類です。

これを可視化すると・・・

学力区分 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
学力帯
クラス 特進 普通 お客様

上記は説明のためのイメージですが、「学力別」を機能させるためには最低でも3クラスの設置が必要です。

あるいは次のような4クラス構成になります。

学力区分 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
学力帯
クラス 特進 普通1 普通2 お客様

細分化したクラスの中でも〔2-6-2〕が発生するため、「上位クラスの下」と「下位クラスの上」を定期的に入れ替える必要があります。

これがクラス編成のしくみと必要性です。

しかし問題になるのは、集団指導の運用コストは「1クラス」ごとに発生することです。

仮に1クラスの運用に10名の生徒(月謝収益)が必要な場合、3クラス制なら30名、4クラス制なら40名以上の生徒数を安定確保する必要があります。曜日や時間が異なるコマについても同数の生徒を集める必要があります。もちろんその人数を収容できる教室設備も必要です。

このため、学力別クラス編成は知名度が高く規模が大きい塾でなければ実施が難しいのが現実です。

1クラスしか設けられていない塾は「入れ替え」がないため、いちど合わなくなると(他塾で補完しない限り)その状態は最後まで継続します。

学力区分 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
学力帯
授業適合状態 合う あまり合わない まったく合わない

集団指導塾なのに個別指導が要るの?

軽微なことなら「質問タイム」や授業時間外に質問できますが、即席授業が必要になるレベルは講師を占有する必要があります。しかし集団指導塾にはそれに対応できるリソースはありません。

「だったら別の個別指導塾を…」となりますが、個別指導の必要性の発生原因はあくまで「塾の授業」ですから、その授業に則した解説を受けられなければ解決になりません。つまり、個別指導なら何でもいいというわけではありません。

これを逆から考えると、個別指導の受け皿がある集団指導塾を選ぶことは非常に重要であることがわかります。

実際、手がかり無しで探すと殆ど見つかりませんが、大手受験塾には系列や提携の個別指導塾がありますし、小さな塾でも同じオーナーが近隣で個別指導塾を経営していることもあります。

であれば、「提携している個別指導塾はあるか?」と直接訪ねるのがシンプルです。

短中期講習型

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学習サイクル上の位置づけ

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練習
評価
判定対処

特定単元の弱点強化などの限定された目的のための塾

「基本形」の本来の運用スタイルです。短期は1~2週間、中期は2~3ヶ月で完結する内容を扱います。

科目や範囲が細分化される大学受験分野では一般的ですが、小学生対象のものは主に夏季講習・冬期講習・春季講習です。

以下は夏季講習などの季節講習について述べます。

効果を得るために必要なこと

  • 学力と学習目的に合うコースを選ぶ
  • 予習は指示どおりに行う(予習不要の指示がある場合は予習しない)
  • 復習は必ず、当日・翌日・期間終了後の3回
  • 基本的には1科目、最大でも2科目に留める
  • 休まない

既塾生(内部生)にとっては必携

受講前提で長期計画が設計されていることが多いので、既塾生(内部性)にとっては必携になります。

次々に売りつけられる…ではなく、春夏冬休みは授業コマ数が多いという認識が正しいです。

短期講習は一般募集の生徒(外部生)と混成で行われます。

しかしながら開催主旨は内部生に向けられているため、基本的には「外部生=お金を落としてくれるだけの存在」です。このため、外部生が有効活用できる状況や目的は、その塾の定期コース入塾を検討している場合の「試行」に限定されます。

しかし入塾を検討している場合、「試行」は様々なメリットがあります。講習の結果によって授業の適応可否の判断ができたり、直後のクラス再編で適切なクラスでスタートしやすくなります。

たとえば「基礎クラス」と銘打たれているものは、内部生にとっては「既習範囲の理解漏れ補完」です。その授業やテキストを見ることで、以降の授業範囲や難度を体感で知ることができます。

これはゼロスタートではないサイクルを取り入れる際に欠かせない情報です。

模擬演習型(6年生の冬期講習)

入試本番を模した予想問題を使い、午前中に解いて、午後から解説を行うスタイルです。静岡では入試日程的に最適最良のタイミングなので「極めてお勧め」です。

通っている塾でこのタイプの冬期講習がなければ、冬休みはこちらを推奨です。

内申点対策型

集団指導

学習サイクル上の位置づけ

インプット
練習
評価
判定対処

学校の定期テスト対策をする塾

独自のカリキュラムをもたず学校の授業進捗に合わせた授業を行う塾です。補習と発展学習がシームレスにつながるので学校成績を上げやすいのが特徴です。

中学生対象の学習塾では最も一般的なスタイルで、小学生向けは同塾の下級学年クラスの位置づけで扱われることが多いようですが・・・

小学生にはお勧めできない

内申点対策塾で学校成績が上がりやすいのは、「次回テスト範囲」の学習のみを取り扱い、その範囲で出題される定期テストで最もスコアが出しやすい学習指導をしているからです。

しかし別の見方をすれば、経過済範囲の理解漏れを放置しているともいえますし、「学校と同じこと」のために学習サイクルを分離するのは正しい学習とは言い難いです。

また、とりまく状況が学校軽視や塾依存につながりやすいことも否めないです。

そもそもの部分で、公立中高一貫校を受験する場合を除けば小学生が内申点対策をする合理的な理由はひとつもありませんし、公立小学校のテストで90点以上がとれないのは「勉強不足」か「下級学年の重大な欠落」ですから、塾に行かせるとしても選ぶ塾が違います。

中学生にもあまり勧められない

「次回テスト範囲」の学習のみを取り扱い、その範囲で出題される定期テストで最もスコアが出しやすい学習指導をするのが内申点対策塾です。公立小中学校で成績上位を塾勢が寡占している理由は、内申点対策塾の指導方針は「定期テスト」という到達目標にとって正しいからです。

これは状況が証明しているので否定できません。

しかしその方針は、経過済範囲の理解漏れを放置ししているともいえます。なぜなら「前のテスト範囲」の慣熟に時間を割くと「次のテスト範囲」を指導する時間がなくなるからです。

問題は、理解漏れがないまま集大成の大学受験に到達できればいいのですが、現実はなかなかそうはいきません、理解漏れを放置して成績を「造って」いた人は塾を辞めた途端に成績は急落します。それが露呈するのが高校1年の夏休みです。

これも状況が証明しているので否定できません。


そこで原点に立ち返りますが、内申点対策塾に通う理由は公立進学校に進むためです。そこを学習のゴールとするなら内申点対策塾を利用することは正解です。しかし内申点を稼いで進学校を選ぶ理由が国公立や難関大学への進学であれば、その選択は本末転倒です。

そしてもうひとつは、最終目標となる国公立難関大受験の試合相手は、高校入試組ではなく中高一貫校の生徒です。高校入試がないことで早い段階から大学に焦点を合わせた学習をしており、塾を選ぶときも大学進学を基準にします。

そして高校3年の大学受験模試で国公立難関大基準の偏差値56以上の顔ぶれは、中高一貫校の生徒と公立中高をトップ成績で走り続けられた人、そして一度脱落して勉強の基軸を逆転合格系の受験塾に切り替えた人だけです。

改変履歴

  • 【2022.01.16】ナビゲーション整合性のための文脈修正。
  • 【2021.12.24】初版

サブコンテンツ全体の刷新作業を行っています。

2022年11月23日から2023年3月末頃(予定)

刷新の理由など(閑話)