高校入試に付き合うな頑張ることは「それ」ではない

2020.08.25

現在の中学校教育や高校入試には合理性や理念が無く、それらの固執や盲信が進路選択において著しい不利を生じさせることを書いています。

当ページは現在の「6-3制」に対する批判を含んでいますので、そういう読み物を好まない方はお読みにならないことをお勧めします。

静岡県中部エリア在住の方を対象にしています。他地域の方は適宜補正してご覧ください。

進学校とはそもそも何なのか?

そう問うと、だいたい次のような回答が返ってきます。

  • 成績上位者が集う学校
  • 大学進学者が多い(合格実績が多い)学校
  • 良質の授業が行われている学校

残念ながら、すべて間違っています。

進学校とは凡人を国公立難関大学に進学させるための学校

競争を煽って勉強漬けの生活を促すことが進学校の目的であり特徴です。なぜなら凡人はそういうやり方をしないと難関大学に合格できる学力がつけられないからです。

ネットのコミュニティには「テストと宿題ばかり」「青春できない」という意見が散見しますが、進学校とはそういうものです。

進学校のやり方が良いか悪いかは重要ではありません。

娯楽的自由を賭け代にしてまで難関大学に行きたいと思わなければ、進学校を選ばなければいいだけの話です。

中学校には理念がない

第二部のとおり、現在の中学校の教育方針は明らかに進学校です。

公立高校入試はその中学校教育の集大成です。

卒業後の進路は高校だから、中学生の目標が高校入試というのは自然では?

一般中学に通う多くの生徒とその保護者はそう思っていますが、そこに重大な誤認があります。

犠牲を伴う進学校の教育方針が(結果的に)正しいといえるのは「最終学歴となる学校の入学試験」をゴールに設定している場合です。また、「高校入試」ではなく「公立高校入試」であり、私立高校やその他学校はついでの扱いです。

中学校の教育が「正しい」なら、理想的進路図はこうなります。

公立小学校 → 公立中学校 → 公立総合高校 → 就職

違和感ですよね。

中学校の教育は言行不一致

現在の本流が「進学校→大学→就職」であることもそうですが、そもそも中学校が進学校化する理由は、中学校自身がそれを想定しているからです。

社会情勢の変化に追従した大学の変化、それに対応するために高校の進学校化が進むのであれば、中学校は「進学校の予備校化」であるのが正し・・・

いやいやいや、ちょっと待て!

その流れで中学と高校に区切りをつける理由がどこにある?

だったら「12歳」で受験をすればいいだけの話です。

理念なき〇〇はどれもロクなものじゃない

中高一貫校にしたいけど解決が難しい問題がたくさんあるので先送りにしている・・・ということは仕方ないとしても、結果的に理念のないお役所都合で子供や保護者を振り回している事実は座視できません。

とはいえ制度に文句をいっても何も始まりません。

たとえば「12歳で受験=中学受験」をすれば高校入試に付き合わずに済むわけで、学校の方針を盲信しなければとれる方法はあります。

難関大学を目指すなら知っておきたい中高一貫校との格差

中高一貫校を選択しなかった不利は、一般中学の生徒や保護者が考えている以上に大きいです。

難関大学を目指せば3年後には一貫校の生徒たちと勝負することになるのですから、その差は知っておくべきと思います。

「6-3-3」では受験科目を網羅できない

具体的には数学(数Ⅲ)と物理です。

理系の難関大学は「そこ」の完成度が合否に直結するところ、高校入試スタートではハイペースで進めても「そこ」は撫でる程度しか扱えません。これは単純に授業時間数が足らないからです。

カリキュラム消化優先でペースを上げれば当然授業は薄くなるし、宿題を投げるだけで済んだことにされることも増えます。

2020年のコロナ休校で多くの公立小中高校がその状態になりました

「6-6」なら網羅できる

中高一貫校の「1年前倒し」はよく知られていますが、それができる理由は・・・

  • 中学受験による「勉強慣れ」によって学習の処理能力が高い
  • 土曜授業や7時間授業を行っている
  • 中高で重複する科目を統合して授業を組み立てている
  • 高校入試によるペースダウンや「流し授業」がない

これらの積み重ねが最終的に高3前期で扱う教科書の差になります。

トレースすればかなり近づける

教科書の進捗差はどうしようもないですが、既習範囲の理解定着は一貫校を意識した学習(上記)である程度埋められます。

旧帝大レベルの現役合格を目指すなら最後は強引な詰め込みにならざるを得ませんが、そういうときに基礎定着と処理能力の違いが効いてきます。

地元の私大を目指すなら進学校に行く必要はない

率直に言えば、大学附属の私立高校から内部推薦で進学するのが最も合理的です。

都市圏の名門大学附属校は概して鬼のような超難関ですが、静岡のそれは特段の対策をせずとも単願で大過なければ合格です。(※後述)

なので内申点対策を含めて高校入試のための勉強は一切不要です。

総合高校からでも合格できる

一部学科を除けば合格難度は低いので、総合高校カリキュラムに沿った自学自習で十分合格期待がもてる学力に到達できます。

進学校にこだわる必要はなく、むしろ国公立難関大を想定した進学校はオーバースペックです。

浮いた時間を有意義に!

入試対策の代わりに基礎学力の見直しや高校の先取りをするのが良いです。というか、そうすべきです。

いずれも高校進学後の授業適応がラクになるので、将来のことを考えたり青春する時間がつくれます。そもそも内部推薦は校内成績が良くないと権利がもらえません。

「私立単願で勉強から解放された~」ではなく、進学後に備えてしっかり勉強しましょう。

就職や専門学校志望は進学校を選んではいけない

総合高校を選ぶこと

総合高校とは「普通課程と専門課程」がある高校のことです。就職や専門学校志望の人にとって進学校を選ぶことは様々な面でマイナスになります。

進学校は就職に弱い

当事者以外にはあまり知られていないようですが、高卒就職は学校経由の専願が原則なので大学生や社会人のように手あたり次第に応募しまくることができません。

特に進学校は就職を想定したキャリアづくりの授業が無く、希望者が少ないので企業の求人持ち込みも少なく、さらに先生による求人獲得営業も無いに等しいため、正規雇用の選択肢は実質的に公務員系(警察・消防・行政・自衛隊)に限定されます。

なぜ私立高校を軽視する?

静岡県全体の公立高校の志願倍率は1.02倍(20,140 / 20,571)

机上の計算では私立高校に流れてくる生徒は静岡県全体で430人しかいないことになります。

実際は志願先がバラけることでもう少し流れてくるものの、公立優先の暗黙ルールによって成績のよい生徒は根こそぎ公立高校が攫っていくことは間違いありません。

そんな状況の中で生き残って進学実績をつくっている私立校の努力は推して量るべきでしょう。

私立単願で内申点や高校入試を「他人事」にできる

「5科内申点15点(全3)以上」という条件が出されるものの、不真面目な態度さえとらなければ最終的には必要評定は付けてもらえます。

但し、保護者にモンペや反社や授業料滞納の懸念があると不合格になるかもしれません。

私立単願は大学進学志望者にとって莫大なメリットに

「私立単願で勉強から解放された~」ではなく、基礎学力の見直しや高校の先取りをする時間がとれます。

次の表は、ウチで扱った最後の中学生の生徒さんの高校進学後の偏差値推移。

校内偏差値
  英語 数学
卒業式直後 30前後 30前半
入学式直後 50 50
高一夏休み明け 54 57
高一冬休み明け 57 62
高一学年末 63 67

中二期末から高校進学直後まで看ていましたが、スタートを見てのとおり中学時期の成績は最下位層。しかし高校進学後は、中学卒業時はお情けでオール3貰ってた人が、そのときにオール4以上を貰っていた人に追われる立場に逆転します。

この生徒さんはいわゆる「不良」ではなく、生真面目な性格が裏目に出て宿題や部活に振り回されて自滅し、報われない努力に嫌気がさして深海魚になったパターンです。

「国公立大学に進学したいので高校は進学校に行きたい」という希望があったので、だったら私立の進学校を選び、その学校のやり方に適応する準備をしよう、という方針で進めました。

クラスメイトが公立高校入試で盛り上がっているときは中学2年の範囲をやってたので、スタートの偏差値30前後は「まぁそんなもの」です。

ちなみに高校進学後の勉強は、塾ではなく学校を使い倒す自学自習です。

私立進学校の課外補講は塾化している

公立高校でも特進クラスは「ゼロ時限」や「8時限」をやりますが、私立は「9時限」や「土曜」があったり塾の季節講習の時期はだいたい何かやっており、とりわけ差が顕著なのは「随時実施」と「個別指導」です。

まぁ、先生方は大変ですが・・・

また、リソースの割り当て方にも公立と私立では違いがあります。

公立校と違って強制受講ではないので、結果的に意欲が高い個人や小集団にリソースを集中投入する状態になります。

意欲が低い生徒は置き去りにされるので、「一部の生徒だけ優遇する不公平な指導」と批判非難されることもあります。

ただ、進学校でそれは当然のことであり、私立はそれが極端なだけです。

万能ではないので「公立+塾通いより私立のほうが安い」というのは少し短絡的ですが、使いこめば塾料金に換算すると重課金コースです。先述の生徒さんもこのシステムに乗って学力を伸ばしています。

まぁ、乗れるような準備をしていたわけですが。

あとがき

3回にわたって高校入試に付き合うことの無意味さを書きたてましたが、伝えたい事はこれだけです。

  • 小学生なら中学受験して中高一貫校に進学する
  • 中学生なら入試対策不要で合格できる高校を選ぶ

小学生のうちに大学を意識した勉強に慣れ、小学校を卒業したら塾ではなく学校をしっかり利用してほしいと思います。

そしてうっかり一般中学に入ってしまった人は、今度こそ「6-3-3」に巻き込まれない進路や勉強をしていただきたいものです。